栃木県の中世城郭


本HPで使用する城郭用語

 最近、HPの中で、城郭用語についての質問が多数見受けられます。
 城に関する用語は、実は全く曖昧で統一性がありません。

 様々な使い方、呼び方があり、それは人によってバラバラです。
 公式な用語として確立していないのが、城郭用語の実態です。
 かくいう管理人も、本文中で色々な使い方をしてしまい、読者にご迷惑をおかけしていることに気づきました。

 そこで、せめて本HPの中では、城郭用語の使い方をある程度統一していきたいと思います。
 本HPで使う用語を下記のように”あいうえお順”に並べてみましたので、ご活用ください。

 なお本編内で、下記用法にそぐわない部分につきましては、順次改正していきたいと思います。

 【注意】

つかわない用語(理由、それに代わる言葉等などを記入)
< > 呼称につけるときと、つけないときがある
当HP内での特記事項


呼称 内容  縄張図写真
石垣(いしがき)        人工的に石を上下に積んだ構築物 
 (注)積み方の呼称は、幾つもあり統一できていない。
本HPでは、石垣の法面の表面状態を基本に、3つにした。 
 1 野面積み(のづらづみ)  自然石 で積み上げられ、石垣表面に凹凸があるもの
 2 打ち込みハギ(打ち込みハギ) 石を加工し、石垣表面を揃えようという意志をもって積まれている石垣
 3 切り込みハギ(きりこみハギ)  石を切り出し、石垣表面だけでなく、他の接合面も仕上げが及んでいる石垣
 ※ 穴太積み=つかわない 
この石垣は、穴太衆が作ったと思われる・・・なんてよく言うが、雰囲気だけで極めて客観性に欠ける。 
石積み(いしづみ) つかわない。
”石垣” と”石積み”
何が違うのか意味不明。
城跡に存在し、人が防御のために積んだものであれば、両者に差異なし。
明確な差異の定義ができないので、石垣と同意とする。
畝堀(うねぼり) 空堀の中で、主に山の斜面に、面を潰すために連続的に構築される堀。
★何本以上の堀が連続すると”畝堀”となるかは規定しない。
広い面積で面を潰していると認知できる場合に使用する
 
畝型阻塞(うねがたそさい)畝型施設(うねがたしせつ) つかわない。区別が不明確。
畝堀と同意とする
 
内枡形<門>
(うちますがたもん)
曲輪内部に作られた枡形門 
馬出し(うまだし) 曲輪の虎口前面に作られた、橋頭堡・小スペース。橋や空堀を伴う。

★形により丸馬出し、角馬出しと2種に分け、どちらでもない場合は単に馬出しと呼ぶ
 
丸馬出し
帯曲輪(おびくるわ) 一般的に、「曲輪の形状」を見て、細長い曲輪に対して使われるようである
本当は”帯状の曲輪”という表現の方が正しいだろう。
空堀(からぼり) 堀切・縦堀・横堀などの「水のない堀」の総称とする 
 (かく) 意味は「 曲輪」と同じ。
また、曲輪の数を数える単位として使う
(例)一郭、2郭・・・・
 
 角馬出(かくうまだし) 多角形の形状を持つ馬出   
切岸(きりぎし) 人工的に作られた(削られた)段のこと 
曲輪(くるわ) 人が住む、兵を配置する、平場や空間 
 食い違い(門) 二本(複数)の土塁、堀をオフセットして、進入路を狭める施設   
虎口(こぐち) 通用門のこと 
腰曲輪(こしぐるわ) 一般的に、上位の曲輪に対して、その下にある長細い曲輪。
人間の腰の位置にあたる曲輪という、「位置的」な意味で使われる。=腰郭
削平地(さくいへいち) 人が意思をもって削りだした平地部分 
主郭(しゅかく) 城の中枢といえる曲輪。近世では本丸という 
 陣城(じんじろ) 何かの戦いに備え、臨時に作られた城
勿論、土木工事<普請>を伴ったもの。  
 
 陣屋(じんや) 戦闘的な要素がかなり薄れた江戸期まで存続していた城。   
 障子堀(しょうじぼり)  堀の中を枡状に区切ったもの。
※略式 障子
 
写真は埼玉県伊奈氏陣屋跡発掘調査
埼玉県指定史跡
伊奈氏屋敷跡保存活用計画 より
 石列(せきれつ)  石が、連続的に並んでいること。
段重ねになっている場合は、”石垣”と表現する。 
 
外枡形<門>
(そとますがたもん)
枡形門がその曲輪外に作られるもの。またその空間が門として使われ、面積の狭いもの。<馬出し 
縦堀・竪堀(たてぼり) 山や丘に立地する城で、等高線にほぼ垂直に走る空堀 
二重堀(にじゅうぼり) 堀切、横堀を2重に配すること。○本は○重堀とする。 
堀切(ほりぎり) 山や丘に立地する城で、尾根を断ち切る空堀 
(へき) 切岸を含む、垂直方向の障害の事。
自然地形も含む 
(ほり) 水堀、空堀の総称 
本丸(ほんまる) 主郭と同意とする。
文献や絵図の記載内容を引用する場合は使用する。
近世城郭の場合に使用する。
 
堀内障壁(ほりないしょうへき) 堀の中を土橋状の土手で区切る構造
(例)山中城では通称・障子堀と言われている 
 
    枡形門(ますがたもん)  上記、内枡形門・外枡形門をふくむ総称。
虎口内に四角い空間を作り、入口と出口を直行させ、人の出入りを緩慢にする虎口 
 
 丸馬出(まるうまだし)  円弧状の堀、切岸を持つ馬出  
水堀(みずぼり) 水をはった堀、または、水をはったであろう堀
★海水、淡水を問わず 
実城(みじょう) つかわない
主郭と同意とする。
文献や絵図の記載内容を引用する場合は使用する。
 
   武者隠し(むしゃがくし) 通路、虎口の近くに空堀状の溝を作り
そこに兵を隠して、敵を迎撃する施設 
  
館 屋形 (やかた) 基本的に”城”と区別ができないため、つかわない。
ただし、一般的に使用されてしまっている名称で、それらの認知度が極めて高い場合、呼称として使用する
(例・東北地方の”館・たて”)
 
横堀(よこぼり) 山や丘に立地する城で、等高線にほぼ平行に走る空堀 
要害(ようがい) 地形がけわしく守りに有利なこと。または、その場所名、地名